「まいこ先生のシワ改善シリーズ」第2弾は、顔のたるみとも関係が深い首のシワ!
シワ改善について教えてくださる今泉まいこ先生は、あの佐伯チズ先生のお弟子さんです。
佐伯チズ先生は首からデコルテのお手入れに関しては鬼のように厳しかったそうで「筋肉、神経、血管、リンパ」についてみっちり叩き込まれたのだとか。
その結果、まいこさんの首にはシワがなく、サロンのお客様に首のケアについてたくさんの質問をいただくそうです。
首は年齢を感じさせる重要なパーツなので、シワを改善するだけで5歳は若く見えるといいますから、きちんとケアしたいですね。

- 改善できる首シワとできない首シワ
- 日常に潜む首にシワができる原因
- 自宅で簡単にできる首シワ改善方法
について、まいこ先生に詳しくまとめていただきました。
目次
まいこ先生、首のシワは改善できますか?
こんにちは!肌育美容家の今泉まいこです。
「目元のシワ改善方法」の次は、サロンで質問の多い「首のシワ」の予防とや対策方法をご紹介します。
首まわりの筋肉と皮膚の特徴を理解してお手入れすると、スルリときれいな「スワンネック」が手に入りますよ。
皮膚割線は消せません
首は皮膚がもともと薄いため、シワができやすい場所です。
首を動かした部分にできるシワは「皮膚割線」と呼ばれ、真皮層にある繊維の方向によって表れる横ジワのことを指します。
首を動かさずに生活することはできないので、横ジワを完全に消してしまうことはできません。
ただし、保湿やマッサージによって、それ以上深くならないように予防することは可能です。
改善できる首シワもあります
皮膚割線以外の首シワは、乾燥や加齢、紫外線が原因と考えられますので、改善できる可能性はあります。
顔の皮膚もとても薄いのですが、首まわりの皮膚も他に比べて2/3の薄さと言われています。
首は体ではなく、顔の一部だと意識を変え、お手入れ方法を見直すだけでも変化がみられるはずです。
佐伯チズ先生から教わった首シワの深い意味
私が佐伯先生に「首のシワ(皮膚割線)」について教わったときの言葉をご紹介します。
「仏像には必ず3本の首のシワがあって、1本ずつ意味があります。同じように、人間にも3本のシワがあるのよ。」
気になって調べてみたら、仏像の首シワには一つずづ重要な意味がありました。
- 貪欲(お金や名誉を手に入れるのに必死なこと)
- 瞋恚(怒り・恨み・憎しみのこと)
- 愚痴(自分のことしか考えられないこと)
簡単に説明すると、首の3本のシワには人間の煩悩や愚かさが表れているということ。
「首にシワが刻まれる意味を忘れず、大切にお手入れしなくてはならないな」と気を引き締めた覚えがあります。

心がザワつくとき、イライラしたとき、首シワの3つの意味を思い出すと、気持ちが落ち着くかもしれませんね。
佐伯チズ先生のお話、奥が深い!
首のシワと顔のたるみは関係がありますか?
「首のシワ」と「顔のたるみ」はとても大きく関係しています。
お手入れ不足やコラーゲンやエラスチン減少で顔全体がたるむと、顔の筋肉を支える首自体の筋肉にも負担がかかり、首にもシワができてしまいます。
顔のたるみを改善することで首のシワを浅くすることもできますし、反対に、首のお手入れを続けることで顔のたるみを改善することも可能です。
首のシワはアゴのたるみにつながります
サロンでのフェイシャルコースでは、必ず頸部とデコルテのマッサージを念入りに行っています。
「小顔になりたい」「フェイスラインをスッキリさせたい」と希望するお客様が多いのですが、顔よりも頸部とデコルテの筋肉、神経、リンパを丁寧にトリートメントすることで解決することが多いからです。
お顔と首はつながっていますので、首にシワを作らないことこそがお顔やアゴ部分のたるみの解消のポイントなのです。

ちなみに私は2つ思い当たるものがありましたよ。
プロが見る「首にシワ」ができる原因
首シワの原因は、外的要因だけでなく生活習慣が大いに関係しています。
原因その1、姿勢と肩こり
首の筋肉は、ほとんどが縦に走っています。
重要な首の筋肉は「胸鎖乳突筋」と「僧帽筋」と呼ばれる二つの筋肉です。
首の筋肉 | |
胸鎖乳突筋 | 首を顔を横に曲げると耳の下から鎖骨まで綺麗に線がでる筋肉です。 |
僧帽筋 | 体の後ろ側、首から胸にかけて肩から三角に伸びる筋肉です。肩こりはこの僧帽筋上部の血行が悪くなることで起こります。 |
シワに悩むお客様にふだんの生活をお聞きすると、長時間のスマホやパソコン作業をしている方ばかりです。
スマホを見るときは、ずっと下を向いて「胸鎖乳突筋」と「僧帽筋」をムリに使うため、筋肉の上にある皮膚にも負担がかかります。
肩こりやムリな姿勢で筋肉の血行が悪くなると、皮膚の毛細血管が酸素不足になり、首のシワが深くなる原因になるのです。
原因その2、お手入れ不足と乾燥
首の皮膚は顔の2/3ほどの薄さで、実は汗腺は顔よりも多いのが特徴です。
本来ならば潤いが多いはずなのですが、無防備に外気にさらされているため、水分が蒸発しやすい場所でもあります。
朝晩の顔のスキンケアと一緒に化粧水、美容液、保湿クリームをつけて、皮膚割線の緩和とハリ不足による小じわの解消を心がけましょう。
原因その3、お風呂での洗い方
ボディ用のせっけんやタオルでゴシゴシ洗いをしていませんか?
タオルでのゴシゴシは摩擦が多く、必要な皮脂まで落としてしまいがち。首も顔と同じようにやさしく洗ってあげましょう。
サロンでのお手入れは首、デコルテはフェイシャルの一部と考えて、顔用の化粧品を使用してやさしいタッチでケアします。
原因その4、加齢と光老化
加齢によるコラーゲンとエラスチンの減少は、顔と同じように首にも起こります。
そのため、顔に比べてお手入れが不足しがちな首は年齢が出やすいのです。
さらに心配なのが光老化です。顔の場合は、日焼け止めの上にファンデーションを重ねてUV効果を高めることもできますが、首には日焼け止めを塗らない方も多いはず。
紫外線は1年中ずっと降り注いでいるので、耳の下からデコルテまで日焼け止めを塗り、外出した日の夜には、首まで保湿する習慣を身につけてください。
原因その5、首の冷え
「手首」「足首」もそうですが、「首」と名前のつく部分は冷やさないことが大切です。
首には総頸動脈など、大きな血管が走っているので、冬だけでなく、夏の冷房で血行が悪くなると筋肉が硬直し、リンパの流れが悪くなります。
血行不良が首シワへの悪循環をひきおこすこともあるので、首を冷やさないように心がけましょう。
原因その6、枕の高さと寝方
意外と知られていませんが、合わない枕が首シワの原因を作っていることがあります。
高すぎる枕は首を手前に押し出してしまうため、皮膚割線(首の横ジワ)が深くなる可能性があります。
枕を使わずに仰向けになり、バスタオルを重ねて首が体と平行になる高さが最適だと言われています。
アゴを引いている感じを受けるのは高すぎ、逆にアゴを突き出している感じを受けるのは低すぎるので、ご自分にあった高さに調整してみてください。

首に負荷がかかって筋肉や神経を圧迫する場合があるようなので、仰向けに寝るよう心がけましょうね。
今日からできる!首のシワをとるスキンケアと予防法
首シワ対策として習慣にしていただきたいのが、スキンケアです。
「首は顔の一部」として意識し、顔と同じように洗顔、化粧水、保湿クリームでお手入れしてください。
首専用の化粧品は必要ありません
シワ予防をしたい場合は、顔のお手入れで手のひらに余った化粧品をそのまま首に伸ばしていくだけでもOKです。
すでに首の小じわ、たるみが目立つ方は積極的なお手入れが必要。ボディ用ではなく、やはり顔用のお化粧品を使っていただく方が改善が早いです。
顔に使ったあとのシートパックを首に再使用するのもいいですし、首まで覆う市販のシートパックを活用するのもいいですね。
ちなみに、首のうしろは皮脂腺が多いので、クリームのつけすぎはオーバートリートメントになります。耳の下鎖骨までのお手入れで十分です。
紫外線対策は首までしっかり
首は紫外線に無防備な状態でさらされています。
日焼け止めは年中使用し、ストールなどを使って上手に日焼けを予防することが大切です。ストールは冷え対策にもなるのでおすすめですよ。
最近は、パウダータイプのボディ用日焼け止めもあります。レジャー以外はお顔用の日焼け止めを塗り、その上からパウダーをつけると最強です。
また「飲む日焼け止め」を取り入れるのも有効です。
美白に有効な成分が入っているもの、体の中からUVダメージを防いでくれるサプリメントは美容マニアの間で人気です。
美容家が実践する首シワに効果的なマッサージ
広尾にある私のサロンでは、首のお手入れについてとても多くの質問をいただきます。
エステはフェイシャルのみと考えている方にとって、エイジングケアに首とデコルテのトリートメントがとても重要というのが「目から鱗」のようです。
顔と同様、首は年齢を感じさせやすい場所なので、毎日のお手入れにぜひ取り入れてみてください。
美しい首をつくるマッサージ
首のマッサージ方法は、エステの種類や国によっても異なります。
アメリカで多いのは、鎖骨からアゴに向けて下から上に持ち上げる方法。ヨーロッパでは、リンパの流れに沿ってアゴ下から鎖骨にかけて流すことが多いです。
自宅でマッサージを行うなら、摩擦を起こさないことが一番!おすすめなのは、アゴ下から鎖骨に向かう「下向き」のマッサージです。
首元のマッサージ方法
まず顔用のクリームを500円玉くらい手に伸ばし、よく温めます。
右手中指を耳の下にあて、手のひら全体を使って、アゴ下から鎖骨までゆっくりとおろしていきます。同じように左も行います。

それならムリなく毎日続けられますよね。
顔と首のエクササイズ
私が毎日続けている「顔と首のエクササイズ」を2つご紹介します。簡単なので、1日に何度も行なっています。
エクササイズ 1
上を向いて、舌を根っこから持ち上げて10秒キープします。3回で1セットです。
エクササイズ 2
「イーッ」と声を出しながら、口角を引き上げます。
首の胸鎖乳突筋が横に引っ張られる感じで、指で首を触ると筋肉がきちんと張っていればOKです。

トイレやお風呂などすきま時間にやりはじめました!
まいこ先生が教える「首シワ」に効果的な化粧品成分
首シワはマッサージやエクササイズだけでなく、シワに有効な化粧品を使うことで改善が期待できます。
首とデコルテ専用の化粧品は、国内では資生堂、海外製品ではクラランスやヴァルモンなどが多く扱っています。
8週間で首のシワを改善するレチノール
レチノールはビタミンAが主な成分で、表皮組織の代謝や保護に重要な役割を持っています。
資生堂が日本人女性(84名/平均年齢56歳)を対象にした有効性試験では、なんと「8週間で首のシワが減少し、シワがすぐ戻らないような状態に変化した」という結果が出たとか。
レチノール配合クリームを継続使用することで、4週後から真皮を構成する成分の密度が高まるなどして、シワを改善するようです。
線維芽細胞を増やすプロテオグリカン
プロテオグリカンは鮭由来のタンパク質からできた美容成分です。
EGF作用に優れているため、真皮層の線維芽細胞を増やしてくれる効果が期待できます。
以前は1g作るのに3,000万円の費用がかかりましたが、弘前大学の研究で鮭の鼻頭から採取できるようになり、一般の化粧品にも配合されるようになりました。
保湿力でシワを予防するヒアルロン酸
ヒアルロン酸は皮膚の湿潤性や柔軟性を保つムコ多糖類の一種です。
微生物を発酵して作る「バイオヒアルロン酸」や、ニワトリのトサカなどから得られる動物由来の「ヒアルロン酸ナトリウム」など、種類が豊富です。
サラリとした感触がお好きな方は「低分子ヒアルロン酸」、もっちりした感触が好きな方は「高分子ヒアルロン酸」がおすすめです。
配合されている量にもよりますが「ヒアルロン酸ナトリウム」→「加水分解ヒアルロン酸」→「アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム」の順番で保湿力が高くなります。
化粧品の全成分表をご覧になって選んでください。
表皮と真皮に働きかけるナイアシンアミド
ナイアシンは皮膚を健やかに保つ水溶性ビタミンで、ビタミンB3とも呼ばれます。
レチノールやビタミンC誘導体同様、コラーゲンを増やす働きがあるので、肌の弾力やシワ改善に効果があると言われています。
2018年秋、コーセーがナイアシンアミド(リンクルナイアシン)で厚労省にシワ改善の認可を受け、美容液とクリームに配合しました。
フルボ酸
フルボ酸は天然のミネラル成分で抗酸化作用が高く、エイジングケア効果が期待できます。
「キレート作用」という不要な成分を取り除き、有効な成分を取り入れてくれる働きをしてくれるので、肌のターンオーバーを整えて新しい肌を作る助けをしてくれます。
「首のシワを消す」ために今夜からできること
まいこ先生のアドバイスまとめ
- 顔と同様、首にも保湿と紫外線予防をする
- 首とデコルテは顔の一部と考え、洗顔料でやさしく洗う
- 首のマッサージは上から下にこすらずゆっくり
- 冷えは首シワの原因、紫外線予防のためにもストールを活用する
- 枕の高さを調節し、長時間のスマホやPC作業は避ける
まいこ先生の首シワ対策は、私も意識していることばかり。
1、2、3は専用アイテムが必要なく、顔のスキンケアの延長で行えるので、今夜からすぐに実践できますよね。
いちばん対策が難しいのは、姿勢ではないでしょうか?
パソコンとスマホは日常生活と切り離せないので、作業の合間に伸びをしたり、首や肩をまわして血行をよくしたり、週に1度は運動をしたり、工夫が必要ですね。
「あたらしい皮膚科学 第3版」清水宏 中山書店
「ぜんぶわかる人体解剖図」坂井建雄 成美堂出版
「新エステティック学」一般社団法人日本エステティック協会
「化粧品成分用語辞典」山科峯緒 中央書院